近松心中物語 いのうえ版


蜷川演出の初期の作品を観ている私は
とっても興味があった。
どれくらい似てるんだろう。
そしてどれくらい違うんだろう。
もちろん宮沢りえを観たい!ってのも大きかったし。



ハコは新国立の中劇場。
ちょうど一年前に高畑充希を観たところだ。
冒頭のまるでミュージカルな演出も
あの綺麗でシンプルなセットも
回る舞台も
暗転が一度もないのも
ラストシーンも
カーテンコールからのキャストの去り方も



すごく好き。
完璧だ。



二組の男女の物語。
ひと組は、遊郭の女郎と真面目な男の
もうひと組は、気の強い女房と浮気な旦那の。
ただそれだけ。
どちらものっぴきならないことになり、
心中するしかなくなっていく。




あるシチュエーションでは
「一緒に死のう」って言葉は
「アイ ラブ ユー」になり得るのだと知った。
そして
自ら死を選ぶことを何のためらいもなく表現できるのも
舞台ならではなんだろうなってことや
最後に残るひとりに
私たち観客は一番共感するのだろうな、ってこと。


中学生の時に一度観ていたのだが
その時にはこんなにたくさん
感じることはできなかった。
これはオトナのための物語だ。




ネタバレになるけど



ラストのカーテンコール後に
ふた組の男女はペアを取り替え、談笑しながら
後ろに現れた遊郭へと消えてゆく演出は
本当の最後の印象を強烈に残して秀逸だ。



蜷川演出を残しながら
全く違う感じもする。
何よりあのシンプルで変化に富んだセットは
今の時代に合っていると思う。
演劇部顧問としても
とてもとても勉強になる。



宮沢りえ
堤真一
池田成志
小池栄子
4人とも素敵な俳優。



個人的には
オールナイトフジでアイドル的存在だった山崎美貴
貫禄と存在感のある役どころなのも
びっくりしてすごいな、と思った。



観に行ってよかった。
そう思う芝居だった。
ランチに寄った向かいの商店街のビストロのステーキも最高だったし
今日もいい一日*\(^o^)/*